
ねこは本当に食べる。くろにゃんは小柄だったけど、朝昼晩とカリカリと猫缶を食べに軒の上にやって来た。
トミーのママのところにも毎日、同じように竹輪を催促しに行っていたようなので、かなりの大食漢だったと思う。
ある日、母が「くろにゃん、今日はこれで終わり。これ以上食べたら、お腹壊すからやめとこな」といって、くろにゃんの目の前で手のひらと手の甲をブラブラさせながら見せると、
くるっと背を向けて、ミャオ~と鳴きながら帰っていったそうだ。
母は、くろにゃんには、手の動きの意味が分かるといっていたが、たまたまだと思った私が、翌日にくろにゃんに同じように手をぶらぶらさせて見せたところ、その時は、(まだ、お腹いっぱいになっていない)と言って不満げに鳴いて、エサをせがんだ。
くろにゃんは、本当に賢い仔だった。
出来るなら、捕まえて家猫にしたいぐらいだったが、相手は猫の5歳児。
いろいろと、コミュニケーションは取れるようにはなったものの、偶然に普通の道の上で見かけたら一目散に、軒の上にめがけて走り去ってしまった
どうやらくろにゃんの中では、かこファミリー=軒の上で顔を合わせるもの、というようにインプットされているようだった
そんなくろにゃんとの、ほのぼのした生活は出会いから、3年ほど続いた。
3年間とっても、楽しかった。