軒の上にやって来るくろにゃんは、無口な子だった。
うんともすんとも、言わない
くろにゃんの親友のトミー君のママによると、くろにゃんは鳴く時、とても高い声で可愛く鳴くらしい。
是非とも鳴いて欲しい。
とりあえず、「くろにゃん。いい天気やな。今日もいい子やね。おりこさんやな」と話しかけてみる。
くろにゃんは、(そんなことよりも、はよぅ 蒲鉾よこせや)というような感じで睨んでいる。
日本語で通じないのならやはりここは、猫語ということで、江戸家猫八になった気分で、ニャンニャンニャンと鳴きまねをしてみた。
そんな日が続くこと数週間、我ながら上手く鳴きまねが出来たという時がやって来た。
すると、くろにゃんは
(今、あんた、なんか喋ったよね)といった顔して私を見て、堰をきったように鳴きだした。
いや、正確には喋っていた。
それから、普通に話しかけても、ちゃんと返事をするようになった。
「くろにゃん、おはよう」 「にゃっ」
「くろにゃん、ご飯食べる?」 「にゃぁ~」
「くろにゃん、ごちそうさまでしたって言える?」「にゃっあにゃっあ」
本当にこんな感じだった。
ねこは可愛い
シンバ君やくろにゃんに出会うまでは、おバカな動物だと思っていたけどねこは、本当に賢い。