法律事務所の仕事は好きでした。
なぜか。
弁護士のところに来る人は、人生の一大事に真っ只中にいます。
私がいた事務所は、所謂「町ベン」と言われる、町の弁護士さん。
主に、離婚、破産、相続、あと、刑事事件でいえば、覚せい剤、窃盗などがメイン。
大手の弁護士が数十人いるような大きな弁護士事務所ではあまりやりたがらない事件ばかりする、庶民のための法律事務所でした。
そういう事務所にいると人様の人生をみて、自分の人生でないにせよ、勉強したような気分になります。
なんというか、人様の人生に関われば関わるほど、「因果応報」について深く考えるようになります。
今の職場の面接で、「法律事務所なんて勤めていると、人の汚いところを見てしまって、さぞかし嫌な思いをしたでしょう。」と言われましたが、答えはノーです。
確かに、クライアントにはいろんな人がいて中には、モンスター・クライアントみたいな人もいます。
クライアントは不幸のどん底にいます。
弁護士や秘書たちはクライアントの問題を、できうる限り円満に解決する努力をします。
クライアントが、これからの人生、前を向いて歩いていけるように、サポートするのです。
確かに中には裁判内容に不満があり、不満げな顔をして去るクライアントもいたのも事実です。
涙を浮かべながら、「ありがとうございました。これで、人生スッキリとやり直すことができます。」といって頭を下げるクライアントもいました。
その時、私はこの仕事をしていて、本当に良かったと思ったものです。