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「さっき、そこで人を殺してきました」と言う男②

そんな話をすっかり忘れてしまったある日。

以前勤めていた法律事務所のボス弁のトトロン先生から、

「事務員さんが倒れたので暫くアルバイトに来てもらえませんか」

と連絡が入りました。

そして、オフィスで仕事をしていると、脳裏にあの「さっき、そこで人を殺してきました男」の話が浮かびました。

そして、私の後継の秘書さんに

「あの事件どうなったん??

と聞きました。

彼女はそんな事件が有ったことすら知らず、

「えっ何なんですか、それ!? どうなったんですかねぇ?気になりますねっ!

と興味津々の様子。

担当したイソ弁先生が、いなかったので取り合えず、帰りを待つことになりました。

イソ弁先生が帰ってきて、

「あれってどうなりました??」と聞くと

「えっあせる あれなぁ。あんまり思い出したないわ」

と始まり、

「結局、警察の言うまま、起訴されて刑務所に行ったわもやもや

法廷は、とても異様な感じだったそうです。

何せ、やっていない事件をやったといっているので、被告人の証言と、刺された人の証言や傷口の具合がどうも、矛盾してしまうのです。

検察官の目も宙を舞い、裁判官の目も白黒し、法廷にいる人すべての人が

「この事件なんかおかしい。この人やってないんとちゃうかぁうずまき

と思っているようだった。

そうは言っても本人は刺したと言っているので、そのまま実刑をくらって行きました。

ちなみに、被告人が実際に刺した傷口というのは、チョンと刺した程度の浅いものでしたが、実際に裁かれた事件の傷口は、内臓まで達していて、相当深かったらしいです。

そして何故、被告人の男が冤罪を着せられなければいけなかったのか。

そこらへんの、謎もちゃんと分りました。

少しややこしくなりますが、真相はこういう感じです。

男は○○組という暴力団組織に所属していました。

ある日、男は××組の暴力団員と喧嘩をしました。

そして、男は××組の暴力団員を持っていた刃物で切りつけました。

普通なら××組の暴力団員が警察に行って、

「○○組の男に刺されたよ」

と言えばいいのですが、どうやら、ヤクザの世界というのはそういう風にはならないようで、

○○組の親分と××組の親分とで、どう落とし前をつけるのかというお話し合いをしたみたいです。

××組の親分は○○組の親分に

「今回のことは、多めに見てあげるよ。でも、その代わりちょっとお願いがあるねん。うちの若いのがちょっとやんちゃして、B地区で人を刺しよってん、それをなぁ、代わりに被ってくれへんかなぁ」

と言ってきた。

事実上の手打ですね。

かくして、男は親分から警察に行くように言われて、自分が人を切りつけたことを自供しました。

そして、親分たちの思惑通り、警察はB地区で起こった事件について、男を自供させます。

警察も、ヤクザの親分も怖いねガーン

男も気の毒と言えば気の毒なのですが、ヤクザを結構長くやっておられるせいか、塀の中と娑婆を行ったり来たりしているらしく。

こう言っちゃ語弊があるかもしれないけれど、堅気の人間からしたら

「まぁ、出たり入ったりしてはるし、1回ぐらい余計に入っても、まぁいいかっ」

って感じになったようです。

因みに、A地区で刺された人を受け入れた病院は調べたけれど、近隣でそういう患者を診たという病院はなかったらしい。

ヤクザお抱えの闇医者っているのかしらねって話になりました。

ただ、それから暫くして知ったことですが、刑事なんちゃら法で、国家資格の何種類かは、仮に令状があったとしても、守秘義務を盾に、これを拒否することが出来るとあるので、そういう観点から、申し出ないのかもしれませんがクローバー

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