朝一番で、テレビをつけるのは私の日課である。
テレビをつけると、北朝鮮のミサイル発射の話題をやっていた。
正雲クンは火に油を注ぎたくるのが、趣味ならしい。
すぐにチャンネルを変えると、日馬富士が辞めるって言っていた。
(ほぉ~日馬富士、なんかそんな簡単に辞めちゃっていいのぉ)
って思ったけど、
(でも、殴ったんだよなぁ。いくら、相手の態度が悪いからって殴ちゃったら、傷害だもんなぁ。手っ取り早く殴るより、もっと他の方法で指導するのが、横綱ってもんだろうよ。アホだな日馬富士。)
とも思った。



弁護士秘書さんをしているとき、虎吉さん(仮名)というクライアントがいた。
虎吉さんはだいたい2年に一度オリンピックイヤーに問題を抱えてやってくる。
虎吉さんの中には、我々が理解できないような正義感が満ち溢れていて、その正義感が爆発する度に事務所にやってくる。
ある日、虎吉さんはスーパーに買い物に出かけた。
そこで、ほかの買い物客と肩がぶつかってしまった。
虎吉さん曰く「向こうの男から、激突してきた」という。
そして、相手から謝罪がなかったため虎吉さんは相手を呼び止め、注意をした。
すると、相手が突然無言で殴りかかってきた。
もみ合いとなりその結果虎吉さんは倒れこみ、お尻に打撲を負い、相手は手を捻挫したというもの。
結局双方が警察に連絡し、被害届を出すに至った。
その後、虎吉さんは相手の住所を調べ、損害賠償請求提起するのである。
(たかだか、臀部の打撲で損害賠償?ってなんやねん。)
(そもそも、ぶつかった時点で、悪くなくっても両方が「すみません」って言えば、いいんじゃないの?なんで、呼びつけて因縁つけるんや?)
などなど。
弁護士は弁護士で法律家としてのモチベーションだだ下がりである
結局、ボス弁はアホ臭くてやれないので、若手のイソ弁にやらせることにした。
虎吉さんは、金払いはいいので、お金は取れるので断る理由はないらしい。
刑事事件は、警察も被害届を受け付けたけれど、あまりのバカバカしさに立件すらしなかった。
そりゃ、臀部の打撲と手の捻挫だしな。警察はそんな暇じゃないわ。
民事事件の記録を見ると、先方は、肩が触れた後、虎吉さんにいきなり鬼の形相で掴みかかられたので怖くなっって、夢中で振り払ったら虎吉さんがこけていたと証言。
防犯カメラを見ても、虎吉さんがいきなり、飛び掛かっている様子にしか見えない。
民事裁判では、結局和解が成立して、虎吉さんはお小遣い程度の、お金をせしめました。
相手も、あんまり関りを持ちたくなかったんだろうな。
お金払うから、もう近づかないでくださいって感じでしょうか。
お気の毒に。
ただ、虎吉さんは裁判官からかなりの小言を言われたらしい。
「あなた、社会人としての良識をもっと持ったほうがいい。恥ずかしいと思わないのか。」
その後も、虎吉さんはことあるごとに、独自の正義感を振りかざして、裁判沙汰を起こしている。
彼の口癖は「あの人は、やっつけないといけない」
そんなこともあって、事務所では虎吉さんのことを
「正義のトラキチ」と呼んでいる。



話は、お相撲さんに戻ります。

日馬富士が辞めてしまって、貴乃花親方はどうやって、振り上げた拳を下げるんでしょうか。
一体、何がしたいだろうね。
貴乃花親方は彼なりの、正義なり理念なんかがあるんだろうけど、それを仮に実現できたとして、満足して幸せになるのって貴乃花親方だけのような気がする。
貴ノ岩でしたっけ?
これから先、彼だって日本の相撲界の中でも、モンゴル力士たちの人間関係のなかでも、微妙なことになるんじゃないのかな。
モンゴルでは、完全に悪者になっている様子だし。
相撲のことは、あまりよく知らないけれど、貴ノ岩がこれから頑張って横綱にでもなれば、万々歳なんだろうけれど、ちらっと見た感じ、彼に横綱になれるほどの器のデカさを残念ながら感じない。
どうするんだ?
正義の貴乃花。
今回のことで、幸せになっている人は誰もいないよ。